2012年09月11日 (ベトナム編)映画で見るベトナム語(2)

★Cycloシクロ(トラン・アン・ユン 1995年 フランス=香港=ベトナム合作)

 この作品は第52回(95年度)ヴェネチア国際映画祭グランプリを受賞し、世界的にユン監督作品への関心を集めるきっかけになりました。

 舞台となるのは現代のベトナム・ホーチミン市。シクロこぎの男、盗まれたシクロの代金を弁償するためシクロ漕ぎの男に悪事を命ずる詩人と、その詩人を愛しながら売春まがいの行為で金を稼ぐシクロこぎの姉の3人を巡る、とても日常的とは言えない出来事へと至る、大都会の一角、最下層に蠢く退廃と暴力と猥雑の集大成、といった感のある作品です。

 見終わった後の筆舌に尽くしがたくも後味の微かに悪い、奇妙な感情はいったい何によるものなのだろうと思いながら、この映画を見た人がベトナムに魅力を感じることがあるのだろうか、とも思う、微妙な作品ではあります。

 なお、本作中で詩人を演じているのは香港人俳優トニー・レオンです。


 シクロというのはベトナムで一般的に利用されてきた三輪の人力タクシーで、ベトナム語での綴りはxích lôとなります。


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