2012年08月30日 (ベトナム編)映画で見るベトナム語(1)

★青いパパイヤの香り(トラン・アン・ユン 1993年 フランス=ベトナム合作)

 監督のトラン・アン・ユンは、ベトナム系フランス人で、トラン・アン・ユンという表記もTrần Anh Hùngのフランス語読みです(ハノイ方言ではチャン・アイン・フンと発音します)。幼少の頃ベトナムからフランスに移住し、リヨンの映画学校を卒業しています。この映画でカンヌ国際映画祭で新人監督賞を獲得し、アカデミー賞外国語映画賞にもノミネートされました。

 この映画は全編フランスのスタジオで撮影され、出演者の多くが在仏ベトナム人でした。ほとんどが南部方言の話者ですが、そうでない人もいます。フランスでの撮影ということで、サイゴンの湿った空気感を出すのも大変であったろうと想像されます。

 表題の青いパパイヤというのは、東南アジアで一般的に食される、野菜としてのパパイヤです。熟したパパイヤは甘い果物ですが、まだ青いパパイヤは、シャキシャキとした食感の野菜として、千切りにしてなますのような調理をしたりするのが一般的です。この映画ではその青いパパイヤを含め、緑色の表現をとても大事にしている様子がうかがえます。

 全編を通して台詞が少なく、淡々としたテンポの作品なので、好き嫌いがはっきりと分かれる作品でしょう。

 現在この作品のDVDは絶版で入手が困難なため、あらすじへのリンクを張っておきます。

青いパパイヤの香り(1993) - goo 映画


(もし見るチャンスがあったら、映像の中に出てくるいくつかの「日本」を探してみてください(笑) )。

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